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アルテ・ピナコテークにて [2010欧州5ヶ国の旅]

2010年4月29日(木)、現地時間 午後0時50分、ミュンヒェン アルテ・ピナコテーク

デューラーの展示室には「四人の使徒」の他にもう一点、私が知っている作品があった。
「自画像」がそれであるが、私はどこかの美術館で既にデューラーの「自画像」は観た記憶がある。
それが今、目の前にあるこの「自画像」であったのかどうか…。どうにも思い出せない…。
調べると、デューラーは「自画像」を何点か描いていて、以前観たのは22歳の時の「自画像」らしい。
22歳の「自画像」はルーヴル美術館にある。おそらく、かつてルーヴルでそれを観たのだろう。
今、私が観ているのは28歳の「自画像」。まるでキリスト。22歳の時と同一人物だとは思えない。

22歳の「自画像」28歳の「自画像」
(左)デューラー作 「自画像」(1493)ルーヴル美術館蔵
(右)デューラー作 「自画像」(1500)アルテ・ピナコテーク蔵

「自画像」といえばレンブラントも多くの自画像を残したが、レンブラントの「自画像」もここにはある。
1629年、画家23歳の時に描かれた小さな「自画像」。これも以前どこかで観た記憶がある。
どこかの美術館に貸し出されていて、それを観たのだろうか?これも、もはや思い出せない。
アムステルダムの国立美術館にも、これと似た若き日の画家の自画像が展示されている。
それを観た記憶が残っているのか?それとも、ただ単に図録かなんかで観ただけの記憶か?
私は、何だか美術鑑賞というよりは記憶の照合作業に陥ってしまっている…。

自画像(1628-29)自画像(1629)
(左)レンブラント作 「自画像」(1628-29)アムステルダム国立美術館蔵
(右)レンブラント作 「自画像」(1629)アルテ・ピナコテーク蔵

さて、デューラーの展示室の次の部屋がイタリア絵画の展示室。
ここにダ・ヴィンチが1枚ある。「カーネーションを持つ聖母」という作品である。
ここで皆様に告白しなければならないことがあります。私、この作品のタイトルを今知りました…。
つまり、私は鑑賞時、この絵にカーネーションが描かれていたことに全く気付かなかったのである。
全体的に暗い絵ということもあるが、購入した図録を観ても、カーネーションは目立たない。
聖母子のポーズもどことなくぎこちない。正直、これは私にとって魅力的な作品ではなかった…。

カーネーションを持つ聖母

ダ・ヴィンチ作 「カーネーションを持つ聖母」(1478-80)

同じ部屋にラファエロが何枚かあるが、一番印象的なのが「カニジアーニの聖家族」である。
近年修復をしたのだろうか。とても鮮やかな色彩。聖家族が三角形の構図に収まり安定感がある。
今、図録で確認したが、作品上部の天使たちは1983年の修復時に書き加えられたものらしい…。
何でも、天使たちは当初は描かれていたらしいが、18世紀末に塗りつぶされてしまったとの由…。
それを修復したということか。巨匠の作品でも後世、大胆に手が加えられてしまうものなのだな…。
でも、どうですか。私はこの作品、ダ・ヴィンチの「カーネーション…」よりずっといいと思います。

カニジアーニの聖家族

ラファエロ作 「カニジアーニの聖家族」(1505-06)

さて、デューラー、ダ・ヴィンチ、ラファエロと事前にお目当てとしていた絵画は鑑賞したが、
現地で観てはじめて印象に残った作品というのもある。最後にその内の2点をご紹介しましょう。
まずはルーベンスの「最後の審判」。これは縦6メートル、横4.6メートルもある巨大な作品。
私はルーベンスの宗教画はどれも同じ風に観えてしまう人間なのだが、「最後の審判」は違った。
この作品はその桁外れの大きさに圧倒される。思わず呆気にとられて作品の前に立ち尽くす。
バロック期の巨匠ルーベンスの面目躍如たる劇的な1枚。圧倒的なエネルギーで迫ってきた。

最後の審判

ルーベンス作 「最後の審判」(1617)

もう一点はブーシェによる「ポンパドゥール夫人の肖像」。
これも、私にとって何処かで目にした記憶のある作品だったが、これがミュンヒェンにあったとは。
だが、ブーシェは「ポンパドゥール夫人の肖像」を数点残しており、ルーヴルにも所蔵があるとのこと。
また、ブーシェの他にも、モーリス・カンタン・ド・ラ・トゥールという画家も夫人を描いているようだが、
どちらの作品も夫人は椅子に腰かけ、遠くを見やる極めて似たポーズをとっているのが面白い。
まあ、とにかくアルテ・ピナコテークでは、知性を湛えた麗しき夫人の姿を拝むことができる。

ポンパドゥール夫人の肖像(ブーシェ作)ポンパドゥール夫人の肖像(ラ・トゥール)
(左)ブーシェ作 「ポンパドゥール夫人の肖像」(1756)アルテ・ピナコテーク蔵
(右)ラ・トゥール作 「ポンパドゥール夫人の肖像」(1748-55)ルーヴル美術館蔵

この「ポンパドゥール夫人の肖像」を鑑賞すれば、2階展示室を一通り鑑賞したことになる。
2階を鑑賞した私は、階段を降りて1階の展示室にも訪れたが、その際、係員に呼び止められた。
何だろう?私は、必死に耳の感覚を研ぎ澄ませ、係員の声に耳を傾けてみる。
すると、「~チップ」という言葉が…。あ。これは、入場時もらった謎の金属チップのことであるな…。
私は謎の金属チップをポケットから取り出した。すると係員はこのチップを私の襟に取り付けた…。
私は一応、「ダンケ・シェーン」とは応えたものの、未だこのチップの使途は分らぬままである…。

アルテ・ピナコテークにて
折りたたみ椅子を持ち鑑賞する団体。これは画期的!?
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コメント 12

kuwachan

こんばんは。
椅子の持ち込みが可なんて驚きです!?
ゆっくり鑑賞できますね^^
by kuwachan (2010-06-21 00:59) 

nyankome

椅子の持ち込みもそうですが、写真撮影もOKなんですね。
プラド美術館はかつてはOKでしたが、昨今の事情で不可になってしまいました。
by nyankome (2010-06-21 06:16) 

orange

デュラーの自画像。
いいですね。この絵の前でしばらく佇んでいたことを
思い出します。
折りたたみ椅子。年配の方の美術ツアーには必要ですね。
上半身に比べ、下半身はとても細い方が多いように
思いますから。日本の混雑具合では無理かもしれませんが。
by orange (2010-06-21 07:52) 

Inatimy

デューラーってこんな顔の画家さんだったんですね。
私が知ってるのは、彼の描いた野ウサギだけ♪ 
レンブラント、左に比べ、右のは、ちょと痩せたかな。
by Inatimy (2010-06-22 21:42) 

いっぷく

椅子は多分美術館の備え付けのものでしょうね、イギリスの博物館でもこのような椅子を用意しているところがあります。
私もたまに利用しますよ。
by いっぷく (2010-06-23 04:17) 

mami

こんばんは。
昔々、この美術館には行ったことがありますが、昔すぎて何を見たのか覚えていません(苦笑)。

私もダ・ヴィンチよりラファエルロの方が好きです。ダ・ヴィンチの聖母はともかく、幼児キリストが可愛くないんですもん。
by mami (2010-06-23 23:17) 

りんこう

kuwachan さん、こんにちは!
僕も椅子の持ち込みというのは初めて見ました。
最近の折りたたみ椅子はとても軽くできてますからね。
館内はあまり混雑もしていないし、落ち着いて鑑賞できますね。

nyankome さん、こんにちは!
フラッシュをたかなければ写真撮影は大丈夫です。
でもブレずに撮るのがなかなか大変ですね。
プラドはダメなんですね…。

orange さん、こんにちは!
確かに日本では特別展の混雑のイメージしかないので、
折りたたみ椅子を持ち込むという発想はちょっと驚きました。

Inatimy さん、こんにちは!
レンブラントの肖像画、確かに左のほうがふっくらしてるかも。
右のほうは口を半開きにして、何だか頼りなさげですね…。

いっぷくさん、こんにちは!
初めて目にしたので、驚いたのですが、
ヨーロッパではこういう風に椅子を貸し出しているところがあるのですね。

mami さん、こんにちは!
mami さんも同意見ですか。
そうです。キリストがかわいくないです。ちょっと不気味なのです!

Taeko さん、takemovies さん、ほりけんさん、ぼんぼちぼちぼちさん、
pistacci さん、yukitan さん、Pace さん、桔梗之介さん、pegasas さん、
くろたさん、Mineosaurus さん、塩さん、ritton2 さん、nougyoujin さん、
toshi さん、haru さん、Studio-Oz さん、らいち。さん、
つるりんこさん、りぼんさん、toshiro さん、dora さん、おまめさん、
whitered さん、アマデウスさん、dorobouhige さん、PENGUING さん、
girasole さん、ぷーちゃんさん、palette さん、nice! ありがとうございます!
by りんこう (2010-06-27 12:23) 

TaekoLovesParis

あとでコメントをしようと思って、すっかり遅くなってしまいました。
私がここのイタリア絵画の記事(2007.6.26サイドバーにカレンダーあり)
を書いたとき、りんこうさんが、「ここで有名なのは、デューラーの四使徒」と、コメントをくださったんですよ。そういうわけで、リンクをつけさせていただきました。
ブーシェの「ポンパドゥール夫人の肖像」は、ここの目玉作品みたいですね。売店にグッズをいろいろ売ってたんですよ。
by TaekoLovesParis (2010-06-29 00:49) 

りんこう

Taeko さん、こんにちは!
あー。そんなこと言ってましたか。以前から気になっていたんですね。
今回、ようやく観る機会を得ました!
「ポンパドゥール夫人の肖像」があるとは現地で初めて知りました。
美術館のショップは変わったものがあって面白いですよね。

Mimosa さん、くーぷらんさん、nice! ありがとうございます!
by りんこう (2010-07-03 18:26) 

ジョージ

りんこうさん、こんにちは。

私も同じ画家の作品をあちこちで見ている内に混乱することがよくありますが、個人的な鑑賞の視点があると楽しいですね。

ミュンヘンのアルテ・ピナコテークは時間がなくて見学していないのですが、ベルリンの美術館でも、椅子を持ち込んで見学する集団がいました。
日本の美術館の企画展は会場が狭すぎるから座って鑑賞できる機会はすくないと思いますが、ルーヴルなどでも、普通の日なら部屋のな真ん中の大きな長いすに座ってゆっくり鑑賞できるのではないでしょうか。

ベルリンでは、美術の先生に引率された小学校低学年くらいの子ども達が、床に寝ころんだり、思い思いのかっこうでスケッチブックにクレヨンで絵を描いていました。(日本では、ボールペンも使用禁止で鉛筆でメモするくらいでしょう)


by ジョージ (2010-07-03 21:55) 

りゅう

デューラーの有名な自画像、私も観たいです!!
レオナルドもラファエロも魅力的ですが、
やはりここはポンパドゥール夫人に1票♪
くつろぎもたれかかる様子がなんとも艶めかしくって。(^_^)
by りゅう (2010-07-04 11:31) 

りんこう

ジョージさん、こんにちは!
美術館の中の環境がヨーロッパと日本とではだいぶ違うようですね。
日本の企画展ではとてもとても考えられません。
人の頭を鑑賞しに行ったみたいなことが多々ありましたから。

りゅうさん、こんにちは!
ポンパドゥール夫人は優美ですよねぇ。
アルテ・ピナコテークではこの作品が長い展示空間のいちばん端に、
もう一方の端に、デューラーの「四人の使徒」が対になって展示されています。

kurakichi さん、nice! ありがとうございます!
by りんこう (2010-07-18 10:34) 

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